JA1ACB こだわり無線塾



RTTYの諸問題

2009/5月 NEW!

 
 最近は全部ディジタル通信として片付けられる傾向があるが、45.55から50ボー程度の低速では20年余の経験から言って復調器つまりディモデュレイターには可也色々な考慮をする必要があり、受信FSK電波をディスクリを通して直流をオンオフつまり今風に言えばディジタル変換すればいいと言う簡単なものでは無い。経験から言って近距離フェイディングによる誤変換とか冬の早朝の北米イーストコーストのあのポーラーフラッターによる誤変換、ノイズすれすれの場合に負帰還によるシフト幅低減法により受信機のパスバンドを狭くしてSN比を改善させるとか、平文の時にはスペルチェックを掛けて誤字を検出する等々、兎に角CPUからDSP更に単純な繰り返しの決まった事をさせるにはより能率的なFPLAをと、更にUARTが初めて紹介された時の衝撃と同じく現在のスタートストップをどの様にして誤字の少ない同期方式に近付けるか、アナログ方式のLPFのリンギングを逃げる、或いはパスバンド内の位相の回転の為パルス信号の中心のサンプリング点のレヴェルが低くなって誤字率が高くなるのを逃げる為の位相等化型ディジタルフィルター、サンプリングをパルスの中心一箇所でやらないで近傍の三箇所でやり多数決にする、CPUの高速化により各パルスを全てコヒアレント検波にする等々、電離層伝播と言う極めて厄介で不安定な通信回線(だからスリルとサスペンスがあってドキドキ感が堪らないのだが)を使って通信するのが嫌であればテレックスあるいはインターネットの様な有線通信(ケーブル通信)にすれば良いので、そうすれば精神的苦痛はかなり低減される。もう一言追加すれば最近インターネットで色々な絵文字が使われるようになったが元々は第二次大戦中米軍兵士が時間の余裕のある時にテレックス通信で送ったのが最初で、バックスぺースを使用して(印字通信は消去が出来ない)オゥ(オー)の中にピリオドを入れたものを二つ並べて「SEE YOU」にしたものが最初と言われている。また符号が5単位であるため勿論大文字しか送れないが、最淡をピリオドを、エムとダブリューの重ね打ちを最濃として何時間も掛けて絵を送信する事が行われていた(同好家の間ではPIXと呼ばれている)。かなり以前、インターネット黎明期の頃RTTYをやっている連中の会合で「インターネットでCQ CQ DE JAxxxx」と出せるようなサイトを作るのも面白いかな、パイルアップをどうするかな、ハムバンドにいる偽者のように電波の質から見分けるのは難しいかな、などなど議論百出だったが、メッセンジャーがある程度そのような機能を持っているかも知れない。 

余談はさておき受信されたFSK信号を直流のオンオフ信号にしなければならないが、昔小生が「59」誌に書いたディスクリ型とトゥートーン型の比較説明が一番明確に両者の差異が理解できると思うが、読まれなかった方々も多いと思うのでここで尾鰭を付けて解説をしよう。 小生はどちらの型も使用したが、結局DXCCオーナーロールの大部分はディスクリ型を使用した。トゥートーン型は混信には威力を発揮できるが、極地方を通る電波のポーラーフラッターには極度に弱く、また近距離マルティパスフェーディングにも弱く、小生が殆ど受信出来ているにも拘らず真上でQRZを何回も連発、挙句は莫迦呼ばわりしてCQを出し始めると言う嫌な思いを何度も経験している。特にUARTあるいはUSARTを使った符号再生方式ではスタートビットのサンプリング点が固定していてマルティパスフェーディングに充分対応しきれていないのでスタート・サンプリング点の位置を自由に変えられるようなソフトウェアを自作するのも面白いかも知れない。第二次大戦中に米軍が球を使った符号再生器を使っていたがスタートビットのサンプリング点をヴォリュームで可変出来る様になっていた。