KWM-2A 組立と調整
KWM-2A クリーニングのページに続き、
セット組立と調整を簡単にご紹介します.



写真上部の4つのクリスタルは、クリスタル・ソケットから外した状態.
写真下のクリスタルはピカール金属磨で磨いた新品同様の輝きを取り戻したクリスタル.
一つ一つ丁寧に磨くことで、またセットへの愛着もさらに深まります.


クリスタル・バンクにセットした各バンド用クリスタル.
ご覧のようび素晴らしい輝き.
*金色に見えるのは光の関係


取り外しに苦労するメータとVOX TIME CONSTANTボリューム取付プレート.
このプレートは左右サイズの異なるナットが使用されていて、それぞれボックス・レンチとサイズの合った小型スパナが必要.
写真は右側ナットの締付けの様子.

*一度目はかなり苦労して、ナットの取外しと取付けを行いましたが、
VOX TIME CONSTANTボリュームを先に外すことで作業がかなりラクに行えることが判明.

なんか頓知問題のようですが.....


もう一つのナットの取外し・締付けは、後ろにあるブロックコンデンサの関係でスペースがないため、
サイズの合った小型スパナを使用する.


分解・洗浄し、組み立てたPTO.
*PTOの分解の様子はこちらへ


組み立てたPTOにナンバード・ダイヤル、メイン・チューニング・ダイヤルをセット.
コリンズの素晴らしいシルキータッチが復活!ダイヤルを操作することにこころからの満足を感じます.


製造から40年-50年経過したセットでは、無条件に交換が必要な抵抗やコンデンサがいくつかあります.
写真中央のR127 470KΩもその一つ.
この抵抗は230度に及ぶ6146から至近距離にあり、大きな抵抗値になっていることが多いようです.



R127を取り外し、テスターで計測.案の上、470KΩのはずが、ご覧のとおり大きく変化していました.


交換後のR127.470KΩ 1W


ほぼ組立が完了したワークベンチ上のKWM-2A.
これから各部の調整がスタートします.


各ツマミ類はせっけんで洗浄した後、コンパウンドで磨き上げしています.
ここからコリンズ出荷時と同じ項目での調整をはじめます.

無条件で交換が必要な部品は交換しています.
(JA3FR上銘氏著:「KWM-2メインテナンス」 参照)


込み入ったセットでの調整に役立つ真空管ソケット・アダプター.簡単なつくりですが重宝しそうです.

*上記写真の7Pおよび9Pのソケットはすでに2005年にサトーパーツで生産中止となっています.
特に7Pソケットは秋葉原でも在庫を持っている店がほとんどないようです.
さんざん秋葉原を歩きましたが、ようやくニュー秋葉原センター(小沢電気のあるところ)の
ジャンク屋で7P・9Pのソケットを見つけました.必要な方はお早めに.


2008年4月20日現在
KWM-2Aの調整に入りました.その状況を簡単にまとめます.

1 電源を入れて様子を見ましたが、取り敢えずの異常はなし.
2 100KHz マーカーは問題なく発信している.
3 EXCITOR TUNINGを操作しても、同調の様子がおかしく、ピークが得られず.点検が必要.
4 PTOの出力レベルは問題なし.
ただ、100KHzのマーカー信号がダイヤル上、60KHzと160KHz付近でビートが聞こえる

Fズレか?
5 BFOも問題なく発信しています.
6 ソケットアダプタを使い、各真空管のピン電圧を計測中.おかしな部分あり.要確認

KWM-2A組立後の不具合対応

冷静に4月20日の状態を回路図と読み比べながら、検証しました.
特にEXCITOR TUNINGがまったく効かないというのは、電気的な部分でのトラブルか?あるいはスラグチューン機構なのか??
取り敢えず、BAND SW回りに目を付け、まずは汚れ落しから開始.
写真は接点クリーニング前の状態.黒ずんでいるのが確認できます.


BAND SW接点を綿棒に少量の接点復活材を付け、綿棒でゆっくりと接点を磨きました.
直接、接点復活材をBAND SWに吹きかけるようなことはお勧めできません.

結果はご覧のとおり、綺麗になりました.


さて、本題です.EXCITOR TUNINGも効かず、何か根本的な部分での不具合の様子.
BAND SWやスラグチューン部分を確認してみると、
BAND SW部分で、接点とのズレがあることを発見!

写真のBAND SW用のシャフトはセット後面から、各ウェーハーを貫通させて、パネル面のSWと、シャフト・カップラでつなぐ方式.
この部分の位置決めの遊びがあり、パネル面のBAND位置と、実際のウェハー上の接点位置にズレがあり、うまく接点がコンタクトしていない状態でした.慎重に位置決めをして、シャフトとBAND SWをブリストル・レンチで締付け.

今までのSラインのメンテナンスの時は、このBAND SW位置の遊びには気付きませんでした.
大きな収穫...


写真は自作した真空管ソケットを装着している様子.このアダプターのお陰で、各真空管のピン抵抗値や電圧/レベル測定が
大変スムーズに行うことが出来ます.


BAND SWのアライメントが済み、無事EXCITOR TUNING(受信時はプリセレ)も機能し、
100KHzマーカー信号も元気よく受信できるようになりました.

ここからが、KWM-2A各部の調整に入る訳ですが、セットを分解・クリーニングし、
ようやく調整するためのスタートラインに立てて、まずはほっとしました.
2008.4.29 朝 JG1XLV


RF回路調整の様子.RF回路の各トリマとスラグチューンの調整には写真のようなオシロスコープが必須です.
オシロスコープのプローブを終段6146のグリッドに近づけ、ドライブレベルを観測しながらトリマとスラグの調整を行います.
オシロスコープはGRIDメーターが振れ出すまでの低レベル状態での使用です.


KWM-2Aのチューンアップの一つとして、送受信で周波数がずれる」対応でPTO電圧の安定化回路を組込ました.
上記写真は小さな基板を取り付けるため、J22に共締めしたアルミ金具.


PTOの電源回路に挿入するスタビライザー回路の様子.2SC2333と150Vのツェナー・ダイオードが見える.
回路は簡単なので、ランド板で組みました.
*スタビライザーの回路図は”KWM-2メインテナンス”参照


送信と受信状態でのPTO電源電圧をテスタで測定中.


スタビライザーで安定化されたPTO供給電圧.180Vラインで送信時と受信時でPTO電圧が20Vも変動する.
(このため、送信と受信で50Hz-200Hzもズレることがある)
これを安定化することにより、KWM-2/Aの送信・受信時の周波数ズレを最小化することができる.
*ただし、これはPTOのドリフトが無くなるということではありません.

Collins機器の調整に便利な抵抗器ボックスの製作
KWM-2メインテナンスで紹介されている調整に便利な抵抗器ボックスを作りました.
コリンズの調整で最適な抵抗値を決める際、簡単・的確に抵抗値を決めることが可能となります.

KWM-2メインテナンスで紹介されている抵抗器ボックスはHEATHKIT製で、
抵抗を切替えるロータリースイッチは18接点のものを二個使用していました.

今回、通常手に入るロータリースイッチとして12接点ものを使いましたので、
ロータリースイッチは全部で三個.それらをHIGH/MID/LOWレンジとして切替えています.


内部はご覧のとおり簡単なもの.
写真右は、加工済みのアルミパネルと、パネルに貼付するのり付け出来るフィルムシートに位置決めしたパネル用シートを印刷したもの.最近はインスタントレタリングは使用せず、いつもこの方法でやっています.
注意点は一つだけ.パネルに貼る時に、気泡が入らないように注意することだけです.
私はexcelを利用し、何度かの印刷・位置決め微調整を行ったのち、プリンターで印刷可能なフィルムシートに印刷・貼付します.

色やフォントなど好みのものが可能です.

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First KWM-2 AD in QST 1959 OCT Issue